相続&贈与
相続で親御さんの高級車などを引き継いだときに、どうすればよいかご存じですか?
男女を問わず、わかっているようでいてほとんど知られていないのが、マイカー相続手続きです。今のうち、手続きを知っておき、いざというときに戸惑わずにすむようにしておきましょう。
マイカーの相続手続きは思いの外面倒!?
車の相続は、一般的には車の「所有者名義の変更」手続きを行うことになり、下記のような書類を整えて陸運支局に提出すれば手続き自体はスムーズに済みます。それなら自分でやってみようとすると、すべての書類を整えるだけでもいろいろな役所に出向いて(郵送も可)準備して、さらに、どこにあるかわからない陸運支局を調べて提出しなければなりませんので、提出前の準備などで相当手間がかかることに。
◆ マイカーの相続手続きに必要な書類
車の相続(所有者の名義変更)手続き時には、まず●所有者の確認と●手続き書類の準備が必要です。
● 所有者の確認
通常、車のダッシュボード内などで保管されている”車検証”で確認できます。
● 手続き書類
準備する書類はつぎのようなものですが、一部を除いて相続税の申告の際に必要な書類と重複しますので、余分に取得しておくと便利です。
上表の3の、・車の相続人の氏名と・車の登録番号と車台番号(”車検証”に表示)を記載し、・相続人全員の実印のみを押印した遺産分割協議書(簡易版)(上表の3)を用意すれば、運輸支局の職員などに家族の財産の内訳などを知られる心配もありません。
(注)この書類は最寄りの運輸支局のホームページ(下記は関東運輸局HP)で入手できます。
http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/touroku/index.html
◆ 上記以外のケースは、手続きは異なる!?
上記のように、相続で所有権の名義変更手続きを済ませるケースばかりでなく、いろいろなケースがありますので、タイプ別にその対応などをご紹介しましょう。
● 名義変更せずに、使用しているケース
面倒な相続時の名義変更手続きをせずに、所有者が被相続人名義のまま遺族が使用していることも見受けられます。ところが、後日、車の売却、登録抹消、解体処分などで手続きが煩雑化して却って苦労することに!前述の書類を用意して、相続の手続きされることをオススメします。
面倒なら、マイカーを購入したディーラーなどに相談して、手続きを代行してもらうとよいでしょう(もちろん、手続き費用はかかります)。
● マイカーローンを利用しているケース
マイカーローンを利用している場合は、所有者であるファイナンス(ローン)会社に連絡し、ローン残債(残高)を確認しておく必要があります。
★ ローン残高”あり”時のとるべき対応
今後も遺族がマイカーを使用する意向なら、原則としてローン残高を一括清算する必要があります。
もし一括清算がムリなら、再契約をして新たに車を引継ぐ方の名義でローンを組み直すことができるか、ファイナンス会社に相談できます。
★ マイカーローン残高”なし(一括清算後)”時のとるべき対応
車の所有権の移転手続きが必要です。準備すべき書類のうち、ファイナンス会社が指定する書類を提出後に、譲渡証明書など相続(名義変更)に必要な書類が届けられます。これらの書類と事前に準備した書類を持参して陸運支局で手続きをすれば、所有権移転(=名義変更)手続きが完了します。
◆ 車の価値が100万円以下なら、かんたんな手続きで済む!
車が100万円以下なら、遺産分割協議書に換えて「遺産分割協議成立申立書」という書類で手続きを簡素化できます。これを利用すると車の相続人以外の他の相続人関連の書類が必要ないため、手間が省けます。
そこで、車の価値が100万円以下になることを証明するために「査定証(右図)」を陸運支局に提出しなければなりません。適切にやるなら「日本自動車査定協会」発行の査定証がおススメです。技能検定試験に合格した査定士が中立・公平な立場で査定を実施します。
具体的な査定手続きは同協会へお問い合わせください。
http://www.jaai.or.jp/
その他の必要な手続きなど
◆ 忘れてならぬ自動車保険の引継ぎ
車は引き継いでも、もう一つ忘れてはいけないものが”自動車保険の手続き”です。特に任意保険の名義変更を済ませてから車に乗るように心がけましょう。また廃車にする場合は、損害保険会社に連絡をとれば”先払いしている保険料などの返金”余地もあります。
◆ 自動車税の納付
自動車税は、その年の4月1日に車検証上の所有者が1年分の自動車税を支払うことになるため、特に名義変更などの手続きは必要ありません。念のため、前年分が納付済みかは確認した方がよいでしょう。
マイカーの相続といっても車本体だけでなく、保険、税金、駐車場などの準備が必要で、意外と手間取ってしまうかもしれません。手続きに不安を覚えたり、面倒と感じたら専門家(ディーラーなど)に任せるのもよいでしょう。